エクスペリエンスの"心霊ホラー"シリーズ1作目
いわゆる「和風ホラー」というジャンルのゲームは多々発売されてきましたが、新シリーズとして2017年にエクスペリエンスより発売された「死印」もそのひとつ。
当初はPlayStation Vita版で、その後PlayStation 4、Nintendo Switch、Xbox Oneにも移植されています。
「SIREN」や「流行り神」などが大好物な身としてはプレイせねば、とは思っていましたが、ようやくプレイすることができましたので感想記事を書いてみます。
※ネタバレを含むのでご注意ください
非常にクオリティの高い和風ホラー
一通りプレイして感じたことは、シナリオやサウンド、グラフィックなどの全体的なクオリティが非常に高いこと。
ホラーアドベンチャーでは、アクション要素での恐怖演出が無い分、それらの出来栄えがゲームのクオリティに直結します。
特にグラフィック面は、背景/人物ともに文句なし。ホラーには必須のエログロ演出も、よくSwitchで出せたなぁというレベルで素晴らしい。 人間離れした嫌悪感溢れる怪異のデザインも、和風ホラーの真骨頂的な感じがして大変素敵です。
都市伝説の題材はメジャーなものではなく、作中オリジナルのもの。 どれも理不尽な怪異に対するバックグラウンドまで迫る必要があり、謎解き要素も考えながら進める必要があります。
「死印」感想
世界観設定とシナリオ
ストーリー進行は「主人公の呪いを解く」という一本の柱を徐々に追いかけつつも、全5章が独立したシナリオとなっており、長さもメリハリがあって良い感じです。
各章で襲い掛かる怪異も、しっかりと誕生したバックグラウンドまで描かれており、それらを理解したうえで立ち向かうことが求められます。
この「人間が怪異へと変貌する過程」についての解説は、本作では最終的にはほぼ全容が語られます。
個人的には語られる方が好きなので満足ですが、基本的に悲劇・悲運により怪異へと変貌してしまうことになるので、人によっては悲劇の安売りのように感じるかもしれません。 とは言うものの、その辺りの経緯はある種「ホラーもののお約束」ではあるので、当然といえば当然なのではありますが。
あと、最終的なオチ、つまりラスボスについては、割と途中で推測されやすいのではないかと思います。 展開としては良いのですけど、結構ストレートな進行だったので、もう少し捻りがあるとなお良かったかと。
各章の登場キャラクターたち
各章では2~3人程度のキャラクターが登場し、ともに怪異へと立ち向かうことに。 元警官や元アナウンサー、女子高生やアイドルなどなど、個性豊かな人々が集まります。
プレイ内容によっては影の薄い人物も出てくるのは仕方ないですが、やはりシナリオ跨ぎで登場しているキャラは印象が強いですね。 あるいは衝撃的なシーンのあった「渡辺萌」「広尾まどか」の2名も。
もちろん、ホラーで定番のクソムーブを行う人も中にはいるので、その辺りも楽しみどころです。
気になった点としては、シナリオ進行上仕方ないとはいえ、もう少し各キャラの掘り下げがあっても良かったのかなとは思います。 各キャラの背景や行動原理についてはあまり語らず、結構あっさり気味なんですよね。 進行のテンポが悪くなる、という判断の結果かもしれませんけど。
システム面
プレイ中、特にシステム面で不便を感じることはなく、ノベル・アドベンチャーとしての基本的操作については全く問題ないかと思います。 CG回想モードもアップデートで(PS4/Switchは最初から)実装されましたし。
ただ、シナリオ進行上の都合で不自然な手段を強いられることが多々あり、その辺りは少し気になりました。 具体的には、「特定キャラじゃないと進行不可」という場面が多々あったこと。例えば、「パートナーが女性でないと進めない」など。
シナリオ上は「死のリミットまであと数時間」という設定なのに、パートナーを交換しにいちいち拠点へ戻る行動はどうなんでしょう。 そのようなことを強いると、せっかくパートナーを選べる意味が薄くなってしまうように思えます。
あと、途中の選択肢(間違えるとゲームオーバー)やボス戦のアイテム選択が、一部どうにも理不尽なような。 基本的にはそれまでにヒントがあるように作られているのですけど、「これ分かるか?」というのもたまにありました。
まあ、怪異は理不尽な存在、現実は非常である……ということを考えればある程度は仕方ないのですけど。 若干プレイヤーに対してフェアではないように感じました。
まとめ
と、色々書いたものの、プレイ感としては大変満足な作品でした。近年、和風ホラー作品は減りつつあるように思えますので、今後もシリーズ展開を期待したいですね。
現在だと後日談である6章もプレイできるので、より一層この世界を楽しめます。プレイ後のおまけかと思いきや、シナリオ量も多いし展開も重いしで面食らいました。
同シリーズの2作目である「NG」も発売されていますので、今度はそちらをプレイし、感想記事を書ければと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿