インディーズ発の和風ホラーノベル
「人魔」は2023年8月2日に発売された、PC(Steam)用の和風伝奇ノベル。中国語/英語/日本語に対応しています。
大きな特徴として、低価格(300円)ですが日本語フルボイスであり、美麗なグラフィックとサウンドも大変高品質。プレイ時間は4~6時間ほどの中編ノベルではありますが、分岐数も多く、作中の雰囲気も独特で非常に楽しむことができました。
※多少のネタバレを含みます。
プレイ感想
舞台は架空の時代、架空の日本
作中の舞台は架空の日本。戦時中の日本にて、山奥の小さな学校にて共同生活を送っている生徒と教師たち。主人公は記憶喪失の生徒であり、連続して発生する猟奇的殺人事件と自分の記憶を追っていくことなります。自分は何者なのか、殺人事件の犯人は誰か、「人魔」とは何者か。周囲の生徒・教師とやり取りを重ねつつ、これらの謎を解明していきます。
この架空世界の描写が独特かつ魅力的。廃墟や木造建築物、殺人描写とも噛み合い、退廃的な世界観を演出しており非常に素敵。
全体的に作中に漂う「やるせなさ」。その中でも希望を探してもがく主人公、それぞれの思惑により行動するキャラクターたち。この辺りの描写が気持ちよく、物語に没頭することができます。
マルチエンディング
本作はマルチエンディングで、複数の終幕が用意されています。各エンディングで徐々に物語の謎が明かされていき、最終エンディングまで辿り着くことで、(ほぼ)すべての出来事がの真相が解明されます。
エンディングごとに主人公の立ち位置は大きく変わります。どのような思想で、どの人物に協力するか。この判断により物語は大きく変化するため、よく考えて選択を進めていく必要があります。
……個人的にはやはり海エンドが最高でした。
美しいグラフィック
繰り返しですが、本作は低価格帯にもかかわらず素晴らしいグラフィックが用意されています。主要キャラクターの立ち絵はLive2Dで動きますし、美麗なスチルも多く実装。背景やシステムグラフィックも同様に高クオリティで、商業作品と比較しても遜色のないレベルです。
なお、コンフィグでもゴア描写のオプションがありましたが、オフでもそこまでグロい感じではありませんでした。
気になった点
大満足な作品でしたが、少し気になった点もありましたのでそちらについても。
- シナリオ分岐(ロック)が少し分かりにくい。それまでの選択肢組み合わせで分岐しますが、ノーヒントなのは厳しいところ。
- フローチャートがセーブデータ毎なので、分岐の全体像が把握しにくい。全データ共有・選択済分岐は判別できるようにする、などがあると助かりますね。「かまいたちの夜」みたいな。
- ルートによっては多少強引に物語が進行するように感じました。シナリオボリューム的な課題との兼ね合いなのかとも思いますが。
- 日本語訳について意味は通じるレベルなので問題ないですが、所々気になる点がありました。それでも高いレベルで翻訳できているとは思います。
まとめ
なんやかんや書きましたが、全体的に高品質な伝奇ノベルで大満足でした。本作のバージョンアップや追加シナリオなどにもぜひ期待したいところです。
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